特集 NAGASEグループが目指す未来 | 統合報告書2022(オンライン版)| 長瀬産業

サステナビリティ推進本部 本部長メッセージ

サステナビリティ推進で激変する事業環境を生き抜く

狭川 浩一

執行役員 サステナビリティ推進本部 本部長

循環型経済モデルへの転換を商機に

NAGASEグループのサステナビリティ基本方針は、「経営理念」「ビジョン」「2032年の“ありたい姿”」の理念体系の全てに共通する考え方として位置付けています。

企業戦略に関しては、これまでの経済発展・利益追求という観点に加え、環境と人に配慮した長期的視野に基づく戦略が重視されるようになりました。2021年度からスタートした中期経営計画ACE 2.0においても、経済価値だけでなく、社会価値との両輪で“質”を追求していくことが求められています。

遡ること2005年頃、当社には環境材料事業部という部署があり、人工木と樹脂を融合した環境対応製品をはじめ、環境に配慮した様々な素材を扱っていましたが、当時、お取引先から関心は示してもらえたものの、まだまだ経済合理性が優先されていた時代で、事業を拡大することは困難でした。それから15年以上が経過した今、世界が明らかに変わったことを実感しています。特にここ数年は、お取引先の会社方針や購買方針が明らかに変わってきており、環境価値の高い素材や製品に対する要求が高まってきています。これから先、その動きはさらに加速していくと確信しています。

NAGASEグループでは「技術革新」「気候変動・資源不足」「人口動態の変化」「業界再編」を重要な社会課題と認識しています。とりわけ「気候変動・資源不足」を最重要視しており、リスクであると同時に大きな機会でもあると捉えています。これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の流れが終焉することを前提にすると、作り・使い・捨てる直線型経済モデルから、作り・使い・再利用する循環型経済モデルに変わっていくことで、循環型素材をはじめ、新しい商機が拡大することにチャンスを感じています。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組み

脱炭素と従業員エンゲージメントが2大テーマ

NAGASEグループでは2020年6月にサステナビリティ推進委員会が設置されました。同委員会は、社長が委員長を務め、現在はグループの商社業・製造業・研究開発・エリアの代表者で構成されています。私もメンバーの一人です。

初年度にサステナビリティ基本方針を策定し、2年目の2021年には「従業員エンゲージメント向上プロジェクト」と「カーボンニュートラルプロジェクト」を立ち上げました。この2つはグループ全体で取り組むべき重要課題と位置付けています。

後者に関するところでは、2022年1月に「カーボンニュートラル宣言」を発表しましたが、NAGASEグループは商社機能に加え、製造・加工機能が大きなポーションを占めることを特徴としているため、「商社業/製造業」と「可視化/削減」の2軸4象限(下図)で施策に取り組んでいきます。

後者に関するところでは、2022年1月に「カーボンニュートラル宣言」を発表しましたが、NAGASEグループは商社機能に加え、製造・加工機能が大きなポーションを占めることを特徴としているため、「商社業/製造業」と「可視化/削減」の2軸4象限(下図)で施策に取り組んでいきます。

その具体的な取り組みとして、当社は2021年9月に(株)ゼロボードと業務提携を行い、GHG排出量の算出・可視化クラウドサービスの事業を展開しており、現在では全事業部横断での取り組みへと広がってきています。

この活動を通じて、これまで接点のなかったお取引先のコーポレート部門の方々と会話する機会が増え、経営課題も共有いただいていることから、GHGの算出や可視化に加え、削減に向けたソリューションやファシリテーションを提案しリードしていくことが、化学業界のトップを走ってきた当社の使命でもあり、パートナーとしての役割だと考えて、積極的に取り組みを進めています。

一方の従業員エンゲージメント向上プロジェクトは、社長自らプロジェクトオーナーを務め、優先順位が最も高い課題と位置付けています。従業員は、経営理念やビジョン、“ありたい姿”を実現していくために欠かせない存在だという想いの表れです。引き続き従業員エンゲージメントの理解向上・浸透に向け、会社(組織)と従業員間のオープンなコミュニケーションを促進していきます。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組み

自身の経験を活かし危機感を浸透させていく

2022年4月にサステナビリティ推進本部は、コーポレートコミュニケーション本部から名称変更し、社長直下の組織としてスタートしました。この部隊の使命は、NAGASEグループ全体がサステナビリティ活動を推進していくためのツールを用意したり、仕組みを作ることだと考えています。一方で、NAGASEグループにおけるサステナビリティの理解や意識には、事業部、グループ各社、エリア間でまだ温度差があるのが実態です。今、取り組まないと取り残されるという「危機感」を関係者と共有し、自分自身の営業現場での経験を活かし、これからのNAGASEグループのサステナビリティを強く推進してまいります。