少量生産向けの低コスト耐熱樹脂モールド

東西を問わずメーカーはグローバルサプライチェーンのニューノーマルへの適応を図っています。大規模なサプライチェーンの混乱は起き得るだけでなく、時間に関係なく発生し、いかなる産業にも影響を及ぼす可能性があります。ジャストインタイム(JIT)在庫などかつて成功した戦略も、今やメーカーをさらなるリスクにさらす以外のなにものでもありません。メーカーは大規模生産ラインから数千個以下の小ロットへの移行を余儀なくされています。
一方、金属モールドを生産する従来の技術には、多大な先行投資が必要です。そのため、少量生産にとって魅力が乏しく、コスト上昇分を吸収し利益幅を減らすか、顧客にコストを転嫁し、市場シェアを落とす危険を冒すかという好ましくない選択をメーカーは迫られることになります。
NAGASEグループの中核メーカーであるナガセケムテックスのチームは、モールドメーカーに、3Dプリンターと当社の高耐熱性光学モールド樹脂を使い、低コストのカスタムメイドのモールドを短期間で開発する能力という、より良い選択肢を提供するソリューションを開発・生産してきました。
課題:リードタイムが短い低コストのモールド
モールドを社内で製作するモールドメーカーや部品メーカーは一般的に、カーボンスチールやステンレススチールを原料とする金属モールドを使用します。こうしたモールドは丈夫なソリューションである反面、金属モールドの生産コストが比較的高く、部材や部品を通常数万個以上で大規模生産するときに使用する場合を除き、採算に合いません。まれにしか生産する必要のない部品については、過去の例を見ると、モールドをいつまでも保管することになります。
同時に、顧客から開発リードタイムの短縮をますます求められるようになってきており、より多くのダイスをより短期間に、より低いコストで生産するソリューションを求めるモールドメーカーが増えています。
ソリューション:RHRCM-シリーズ
ナガセケムテックスはRHRCM-シリーズとして知られる樹脂を開発してきました。当社独自の処方と分散技術を用いることで、耐熱性とコストパフォーマンスの完璧なバランスを提供する樹脂を生み出しました。
CNCやワイヤ放電加工法で生産した金属モールドと比べ、RHRCM-シリーズの樹脂を原料に3Dプリントしたモールドは、ずっと低コストで製造することができます。そのため、当社のモールドは、数万や数十万個ではなく、数百か数千個の部品の少量生産で、コストの高い金属モールドでは採算を取ることが難しい場合にぴったりです。同時に、当社のRHRCM-シリーズは摂氏250度(華氏480度)以上の耐熱性を持ち、ほとんどのエンジニアリングプラスチック(エンプラ)の成形に耐えることができます。
プロセス:顧客のニーズからNAGASEソリューションまで
当社は世界各地のモールドメーカーと協力して、そのお客様のニーズに合ったモールドのソリューションを提供しています。
当社のチームがまず行うのは、お客様が作成した3D CAD(コンピュータ支援設計)ファイルを精査することです。それにより、お客様のモールドの技術要件の理解を深めます。次に、予定スケジュールや生産数量など、実務面の要件についてお客様と話し合います。
お客様が作業現場にいらして、当社のチームと一緒に試作することも可能です。例えば、材料のカスタマイズやプリンターの調整、最適なパフォーマンスを確保するための試験などを行う、米国のイノベーションセンター「EMPOWR3D?」と連携しています。
当社の既存の製品ラインから、モールドの1回限りの少量生産に最も適した樹脂を選ぶサポートもいたします。大量用途向けには、ナガセケムテックスのエキスパートが、お客様の仕様に合わせた、完全カスタムメイドの樹脂を開発することができます。
モールド樹脂は製造後、お客様の施設に出荷します。その後、モールドを現場で3Dプリントすればよいのです。
検証:真に多用途のモールド樹脂
ナガセケムテックスのエキスパートチームは、3Dプリンターの光造形「SLA方式」を用いて、幅広い射出成形用途で自社の耐熱樹脂の試験を行ってきました。RHRCM-シリーズは、以下などの最も広く用いられている汎用エンジニアリングプラスチックに対応しています。
- ポリプロピレン(PP)
- ポリエチレン(PE)
- ポリスチレン(PS)
- アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)
- ポリカーボネート(PC)
- ポリエチレンテレフタレート(PET)
- ポリブチレンテレフタレート(PBT)
- ポリオキシメチレン(POM)
当社の樹脂は摂氏250度を超える耐熱性を備えているだけではありません。射出成形に耐えることができる樹脂モールドを生み出すこともできます。また、当社の樹脂を利用すれば、セラミック部品の代替品を検討することも可能です。
前へと進む
グローバルなサプライチェーンの緊張が高まる今、より多くの製品をより短い時間とより低いコストで生産することをメーカーに求める圧力が高まっています。
お客様のSLA方式の3Dプリンターで当社の耐熱樹脂を使用していただければ、3Dプリンターでモールドを作製し、顧客の現在と今後の需要を満たす準備を整えることができます。つまり、いつまでもモールドを保管しておく必要がなくなり、非常に特殊なアフターパーツを必要としている顧客のニーズに素早く対応することができます。お客様独自のモールドの開発もはるかにコストパフォーマンス良く行うことができ、試作も短時間でできるため、イノベーションと適応が可能です。当社のRHRCM-シリーズのテクニカルデータシートのダウンロードをご希望の方や、このシリーズについて、また今日から始めるお客様を当社がどのようにサポートについて詳しく知りたい方は、当社にご連絡ください。
関連するコンテンツ
お気軽に
ご連絡ください。
右記のフォームにお問い合わせ内容をご入力いただき、個人情報の取り扱いに同意の上「送信する」ボタンを押してください。